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◎次世代も奮って志願を 新世紀ビジュアル大辞典によると、「裏方」とは(1)高位の人の妻、特に東・西本願寺法主の妻をさす(2)劇場などで、大道具、小道具、衣装、床山、照明などの係の総称―と記してあります。差し当たり、私たちの作業は(2)に該当します。目下、県還暦野球連盟の運営に参画し、前橋を中心とする五人のベテランスタッフとともに、年間三大大会を無事消化し今日に到っております。既に設立以来、二十三年も続いておりますから、別に取り立てて記すまでもないのですが、長年にわたり裏方さんの重要性を痛感し、感謝と苦痛の一端を述べて、さらなる発展を望みたいと思います。 およそ大会運営については、広大なグラウンドを使用するため、大勢の人手を要することになります。さりとて費用の点も考慮し、ボランティアに毎日頼ることもできず、野球好きで情熱のある、そして報酬の多寡にかかわらず、健康で責任のもてる方と、おのずから限られてしまいます。なかなか適当な方が見つからないのが実状です。 さて、裏方の作業といえば、まず会場に早く出て、グラウンド整備から始まります。少しでも状態を良くし、立派なゲームをしてもらいたい、との親心で入念にします。次に、既に決まっている組み合わせ表に従い、メンバーの提出、双方の選手の登録照合確認、続いて審判立ち会いのもとで攻守の決定、試合開始時間と両軍メンバーの放送を行います。そして、審判先導により選手一同整列、あいさつを交してプレーボールとなりますが、事務局はアナウンサー、カウント表示、スコアラーと位置につき、約一時間半、ミスのない放送、表示、記録と、全身全霊を打ち込んだ作業を試合終了まで務めます。次の試合は交代で持ち場を移動し、同じことを繰り返し行う作業です。 その間、グラウンド整備に行きますと、両軍の選手から「ご苦労さまです。お陰で、好試合ができました」との、ねぎらいの一言で、わがスタッフたち、大変ご機嫌で何ともいえない気分に浸る。最終戦を終え、あすの準備、球場の戸締まりをし、帰路に就くころは既に太陽は沈んでいるのが、裏方の一日の作業であります。家にいれば大黒柱の立派なおじいさん。家族には大変尊敬されておりますが、球場に入れば、雑ぞう巾きんがけ、中でも一番の苦労は雨模様で、試合可、不可の決断と関係者への連絡、早朝五時に球場へ駆け付けての処置と、野球への情熱だけではできない業で、頭の下がる思いがいたします。 私たちが実施している下働きは、年間を通して約三十五日ほどですが、この作業については誰も何の抵抗、ためらいもなく、自然に体が動いています。幸いに戦前から戦後まで鍛えられた影響と思う。従って、私たちの小さな親切を理解し、思う存分、グラウンドで活躍してほしいと思います。次の世代には奮って裏方を志願し、立派な後継者となっていただきたい。そして還暦、古希、さらには喜寿野球まで動ける間は続け、なおますますの発展を望んでやみません。 (上毛新聞 2003年12月31日掲載) |