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◎役立つ情報の宝庫 事業主だけでなく被雇用者にとっても有効な情報が、商工会や商工会議所(以下「会議所等」)には、たくさんある。商工会議所内の地域ベンチャー支援センターの業務に従事したときの印象を中心に記す。 事業主の多くが、この二者のいずれかに加入している。一方で、活用度が高くないことも現実だ。行ったこともないし、何をやっているのか分からないという会員もいる。 いずれも根拠法の施行からは四十年以上を経ており、世の中は別世界に変化している。当時と比べれば経営者や企業のレベルは段違いで、外部の支援機関に対する要求水準も高くなっている。その結果、極論では会議所の役割は既に終わったとする指摘もある。しかし、一方でこれらの機関をうまく活用している事業者がいることも確かだ。活用している事業者に共通するのは、とにかくよく足を運んでいることだ。 会議所等には、事業所にとって有用な情報が数多くある。最近では「消費税法の改正内容や対応策」「確定拠出などの年金制度」の資料、また、国や都道府県・市町村および関連機関による各種公的支援制度などの情報だ。さらに在職者向けの職業訓練情報は、小規模企業だけでなく、自主的にスキルアップを図ろうとする被雇用者にとってもありがたいものだ。これらに関するパンフレットや資料が、多くの会議所等で自由に持ち帰れるように置いてある。 さらに、会議所を中心としたネットワークの力を借りることで自分の問題を解決する糸口がつかめるケースはかなりあるはずだ。職員の多くは地元の事業者や経済動向の裏面にも詳しく、事業者間だけでなく被雇用者などの個人も巻き込んだ新たな連携のキッカケとなりうる。 書籍や雑誌、新聞各紙の閲覧や、インターネットに接続されたパソコンの利用が可能な場合もある。個人を対象にした簿記や販売士などの検定事業と、それらの講習会も開かれている。公的施設で行われている市民講座のビジネス版の会場を提供するような機能も期待される。一部会議所では、貸室業務という形で実現しており、会員に対しては格安の利用料金を設定しているところが多い。 事業者によく利用されるのは、多くの公的金融機関の融資申込窓口としての機能だ。特に、国民生活金融公庫は、会議所等との連携状況も良く、垣根が低い。また、国が低利で行う各種教育ローンの取り扱いもしている。これは被雇用労働者の就学子弟も対象となり、民間金融機関でも窓口業務をしているが、商工会や会議所では気兼ねなく資料が手に入る。この公的融資の窓口機能が、現状最も頼りにされている。それも、市中の民間金融機関での資金調達が困難になったときの駆け込み先としての利用が多い。これから年末にかけては、特にこの資金需要が増加する。筆者は、先の機関に在任中、民間金融機関に対する融資申請に添付する事業の収支計画書を作成した。 また、遠隔地の事業者から新規取引申し込みの相談を受けた職員は、相手方の地元の会議所等に問い合わせることでその与信情報の提供を依頼していた。これは全国各地に存在する組織ならではの強みといえよう。 事業者も勤め人も、自分にとっての役立ち情報がないか、地元の商工会や商工会議所をぜひ一度のぞいてみよう。 (上毛新聞 2003年11月19日掲載) |