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◎欠かせない励まし 十月十四日にNHKテレビ「プロジェクトX」で群馬交響楽団(通称「群響」)の設立当時の模様を描いた番組が放映された。群響の歴史は古く、戦時中は慰問の楽団としての活動を行い、戦後は本当に寝食を犠牲にしてその音楽活動を続けてきた。そして、苦しい時代の群響を支えてきたのが、小学校を回り児童に生の音楽に親しんでもらおうという活動であったというのは、平凡な言葉ではあるが、一人ひとりの楽団員の音楽を続けていきたいという情熱しかない、と番組を見て感じ入った。番組を見ていた多くの人も同じ感動を味わったのではないだろうか。ある学校では、番組を見た先生が見ていない児童たちにぜひ再放送を見るようにと勧めたそうである。 今、県内ではさまざまなジュニアオーケストラの音楽活動が盛んに行われている。高崎では「からす川音楽集団」や「高崎ジュニアオーケストラ」、前橋では「朔太郎ジュニアオーケストラ」等が活動している。 「高崎ジュニアオーケストラ」は一九九七年に設立された。姉妹都市である米国バトルクリーク市とも交流があり、演奏会に参加したり、また今年八月には南紳一氏の指揮で高崎市役所のロビーでロシアの演奏家との交流音楽会を開き、活発な活動を行っている。 前橋の「朔太郎ジュニアオーケストラ」は「朔太郎の音楽性を継承した子供たちの育成を図ろう」という趣旨のもとに九八年に発足して以来、現在県立女子大学の戸沢義夫教授が団長を務め、五十人あまりの団員が練習に励んでいる。定期的に演奏会やクリスマスコンサートを重ねており、今年はドイツの古楽器奏者四人によるバロック音楽会を主催したり、高崎市内の保育園での生演奏を通じて園児らとのふれあい活動を行ったそうである。 「朔太郎ジュニアオーケストラ」に関しては、ぐんま日独協会会長の平形義人氏が、ご母堂が平形氏をお育てになった邸やしきを「母心堂平形 志乃記念館」とし、今年から練習場所に提供していただき、心置きなく練習ができるようになったそうである。 このように民間レベルで行っている音楽活動では、やはり一般の方々の心温かい励ましと無償の応援がなくては続かないものであることを群響の番組を見てあらためて感じた。それとともに、本物の演奏を聞くことによって、音楽に静かに耳を傾けるような子供たちに成長していってほしいと願う。 (上毛新聞 2003年11月14日掲載) |