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◎捨てないで心までも 私が店を出しているショッピングセンターでは月に一日一斉清掃をしています。今朝も仕事前に各テナントより一人出て汗を流して駐車場をきれいにしました。雨が続いて何カ月か延びていたし、この間に清掃の業者さんが掃除してくださっているにもかかわらず、朝行ってみたら目をおおうようなごみの散らかりようでした。 ごみの第一位はやっぱりたばこの吸いがら。灰皿の中味をそっくり車の乗り際においていくようなのも見受けられます。第二位はペタンコになった空き缶。そして紙くずにポリ袋。信じられないのは汚物のついたままの紙オムツです。こういう親に育てられる子供はどういう子供になるのだろうと拾いながら暗澹（たん）たる気持ちになります。広い広い駐車場がまんべんなくごみが散らかっているのはかなりたくさんの人が捨てているからなのでしょうか？ 駐車場ひとつとってもこんな具合です。 出入り口に設置してある自動販売機のごみを回収してみると、もっと恐ろしい事態です。スーパーに入ってきながら捨てていくと思われる家庭から持ち込んだごみ袋。生ごみだけならいざ知らず、中に使用ずみのカミソリの刃や割れた電球のカケラ。使いかけの化粧品のびんやブランドバッグの把（とっ）手の取れたもの。きわめつけはぬいで丸めたストッキング…。 これを捨てていった人ってどんな人だろう？ 身なりだけはきれいに化粧しているけれど自分のことだけしか考えていない人だろうな。うちの息子にこんな嫁は来てほしくないな―などといろんな思いがふくらみます。 私の町でもごみの分別や収集について事細かに取り決めがあります。確かにそのおかげか、ごみステーションのごみが少なくなったと感じています。でもその一方で不特定な人がたくさん集まる所に平気で捨てていく人が多いのも事実です。そういう人の家はごみひとつなくてきれいに片づいているでしょうか。それで満足しているでしょうか。だとしたら自分勝手もはなはだしいことです。ごみの出し方ひとつでその人の人格がわかると言いますが、まさにそのとおりだと思います。 物が溢（あふ）れている今、物は直さなくとも代わりに安くて良い物が買えるし、片づけ上手は捨て上手といわれます。そこで必要なのは本当に必要な物かどうか見極める目と大切にしようとする心です。安易に平気で物を捨てる人は人間に対しても同じことをするような気がしてなりません。必要がなくなったら感謝の気持ちも持たずにポイと捨てるのでしょう。豊かな時代と引きかえに心まで捨てているように思えてなりません。 今朝も主人は犬の散歩に行き、帰りには両手いっぱいのごみを土産に戻ってきました。それが毎日ですから家のごみより拾ってきたごみの方が多いと笑いますが、冗談じゃありません!! 誰も見てないと思って捨てるんでしょうね？ でもいつも神様は見ていると思います。 (上毛新聞 2003年10月4日掲載) |