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◎自分にとって快適な色 ニュース・情報番組のメーンパーソナリティーとしてテレビで活躍中のAさん、Bさんのお二人が対照的なファッションコーディネートをされていて、興味深く拝見しました。意志の強さ、聡明さをヘアスタイル、洋服やメークの色やデザインなど、トータルなコーディネートで自分らしく、すてきにまとめていらっしゃるAさんに対して、毎回替わるさまざまなタイプの装いにこだわりは感じても、彼女の意思や魅力がどうにも伝わってこないBさん。お二人のすてきさに差を感じるとしたら、それはどうやら「自分を知っているか否か」というスタートラインに原因がありそうです。 自分の好きなもの・色を着ることに異議を唱えるつもりはありませんが、ファッションコーディネートを考えるとき、数あるアイテムをどう組み合わせて、どのように個性を表現するかを、色だけでなく、いくつかの要素も総合的に考えなければならないでしょう。(1)イメージコーディネート/自分の個性、なりたいイメージなど仕上がりのイメージをはっきりさせる。(2)素材によるコーディネート/材質・風合いなどイメージに合わせた素材選び。(3)ライフステージによるコーディネート/5W→いつ・どこで・どうして・誰が・何を。(4)カラーコーディネート/感性や好みだけに頼らず、色の調和を考慮して色を選択する。 一九一九年にW・グロピウスらによって創設されたドイツのデザイン学校・バウハウスの教授でもあった色彩学者、ヨハネスイッテンは「人は生まれながらに自分にとっての『快色』をもっている」「似合う色とは自分にとって快適であると思える色」と述べています。彼のこうした理論をベースにして、パーソナルカラーシステムがアメリカで創設されました。人の肌や髪の色、瞳の色、イメージなどを総合的に診断し、色のもっている特質によって春、夏、秋、冬と四つに分類されたどのグループの色と最も調和するかを見ていきます。似合う色、自分がすてきになれる色、快適な色、心身ともに調和して自分らしさを表現してくれる色を「パーソナルカラー」と言います。 人やものの第一印象は、その八割以上が色によってつくられます。しかも色は、隣に、または背景にどんな色がくるかで、その表情をガラリと変えてしまいます。こうした色の見え方、感じ方の変化は色の対比効果と呼ばれる現象ですが、その時身に着けている洋服やメークの色によって肌色やイメージが変わって見えるのはこのためです。人と色とが調和する効果的な色の並びをつくる(身に着ける)こと、つまり「パーソナルカラー」はこの対比効果を活用したものです。 私は「自然で作為が見えないこと」をコーディネートの基本にしていますが、コーディネーターとしての長年にわたる色とのかかわりをとおして色は、ものにとらわれず、自分らしく伸びやかに生きている人に、より「シンプルで気品の漂う美しさ」と「心地よさ」をご褒美として与えてくれるように思えてなりません。 (上毛新聞 2003年9月20日掲載) |