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◎日本選手がメダル4個 世界陸上パリ大会に行ってきました。世界陸上は審判員で参加した一九九一年の第三回東京大会から連続してすべて見ています。その中でも最高のレベルでした。日本でも連夜テレビにくぎ付けだった人も多くいたと思います。日本選手団もメダル四個獲得は史上最高の成績でした。なんといっても男子二百メートルの末続慎吾選手の銅メダル獲得は、日本陸上界のみならずスポーツ全体でも快挙であったと思います。銅メダルを獲得した決勝の翌朝、彼に会うことができましたが、放心状態で、体はボロボロになっており、いかに厳しいレースであったかが容易に想像できました。現地のフランス国内のメディアも、黒人以外で決勝出することも珍しいのにメダル獲得で大きく取り上げていました。 加えて室伏広治選手の銅メダル獲得も、彼の底力があることを示す証拠となりました。私は八月十八日にパリに行きました。私は室伏選手とは個人的にも非常に親しくしており、日本にいる間も頻繁にメールでやり取りを行ったりしていて、私がパリに着く十八日に会う約束をしていました。その彼がヨーロッパ入りを延期していて、チームの関係者から話を聞くと、どうも大きなけがをして来年に迫っているアテネオリンピックを考えると出場しない方向に向いており、パリにも来ないらしいという話が飛び込んできました。当然情報は極秘にされていました。その彼から翌日電話が入り、パリに来たとのことでした。大会当日までハンマーをろくに握れない状態での銅メダルは非常に評価できると思います。彼の投てきをテレビで見た人はお分かりだと思いますが、フィニッシュしていません。投てきでフィニッシュ動作をしないと高さが出ないので飛びませんが、それでも銅メダルを獲得したのですから彼のすごさには驚きます。本当に世界記録を出してもらいたいものです。 さて大会自体に目を向けると、運営サイドの斬新的なアイデアがたくさんありました。なんといっても競技中の会場全体に音楽が流れることです。短距離種目は流れませんが、長距離は「スターウォーズ」などの誰でも知っている音楽が流れました。ラスト一周になると変わったりして小学校の運動会のような楽しさで、会場いっぱいの観客が本当に楽しめる競技場内づくりをしていました。跳躍種目も選手が手拍子を求める時にビートのきいた音楽がタイミングよく流れていました。 そのような発想は、陸上関係者では思いつかなかったでしょう。聞けば大会事務局の主要構成メンバーは陸上競技をやっていたとか、フランス人などにとらわれず、広く人員を世界中に求めたそうです。そして一年前より綿密なリサーチを行い準備したそうです。その結果、大会は連日七万人以上の観衆で大成功に終了しました。 大会期間中、私は今回のパリ大会の関係者のみならず、二〇〇四年のアテネオリンピックや二〇〇五年のヘルシンキ世界陸上の関係者と多くのことを打ち合わせしました。そして二〇〇七年は大阪で世界陸上は開催します。今回の大会以上に盛り上がった大会にするべくいろいろなアイデアを考え出したいものです。 (上毛新聞 2003年9月10日掲載) |