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◎公共交通の利用に貢献 ものが売れないために事業者は値段を下げる。値下げした部分の収益が悪化することから賃金等が減額される。このため、消費者はさらに安いものを購入しようとする。 この悪循環はデフレスパイラルと呼ばれ、身近なところでは、百円ショップの台頭、百円以下のハンバーガー、二百円前後の牛丼などがあげられ、景気の回復が懸念されるとともに、先行きが依然として不透明な経済状況になっています。 また、観光関連事業に関しては、ニューヨークの世界貿易センタービルへのハイジャック機突入によるテロ事件に伴い、事件発生時の旅客機利用の激減から、やや落ち着きを見せ始め、回復傾向にありましたが、今度は中国の新型肺炎(SARS)の発症とその感染を避けるために海外旅行の中止が相次いだこと、さらに台湾のSARS感染者が国内の観光地を観光したことが報道されてから、その観光地も敬遠され、SARSについて一定の終息宣言がされたにもかかわらず、観光関連事業は現在も非常に厳しい状況にあると聞いています。 このような状況の中で、最近各紙の新聞広告や折り込み広告に、低価格に設定された観光ツアーの募集が目立っています。 特に国内旅行では、各社から低価格の募集が行われていますが、これは企画担当者の努力と、公共交通を含めた観光関連事業者の協力が不可欠であるとともに、相互の信頼関係に基づき成り立っていると思います。いずれにしても不景気といわれている現在、低価格の観光ツアーは利用者にとって選択肢が増えることから喜ばしいものと考えており、私も日帰りツアーを含め、数年前から自分にあったコースを選択し参加しています。 この夏、前橋市と友好都市関係にある山口県萩市を経由する観光ツアーに参加(百三十五人の参加者)しましたが、これは二泊三日の日程で厳島神社、錦帯橋、秋吉台、萩、津和野、出雲大社、松江城等を経由するもので、羽田空港からの往復運賃および移動に伴う交通費と宿泊費用(四食)が含まれ、価格は三万円を若干割り込んで設定されていました。前橋市からの参加では、このほかに羽田空港までの旅費が加算されることになります。 このツアー参加に伴い利用した公共交通は、前橋から羽田までを高速路線バス、羽田からの往復は旅客機、観光地の移動は観光バス、宮島口から宮島までを旅客船、フォーゲルパーク駅から松江温泉駅までは鉄道と五事業者の乗り物を乗り継ぎ、公共交通の利用促進にも貢献していると考えています。特に松江温泉駅まで利用した私鉄の一畑電鉄は、上毛電鉄と同様に利用者の減少から公的資金の投入という課題がある中で、このツアーに組み込まれていることが経営努力の結果であると思っています。 観光ツアー参加の目的は人により異なりますが、それぞれにあったプランを選び、景気の回復や気分転換等を含め、時には旅に出るのも必要なことであると再認識した次第です。 (上毛新聞 2003年8月18日掲載) |