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◎情熱と気迫、勇気 私は趣味で絵手紙を書いています。そもそも酒のラベルの絵を上手に書きたかったことと月に一度くらいなら仕事の穴をあけても大丈夫だろうと八年ほど前に習い始めたのがきっかけです。上達のコツは良いパートナーを見つけてやりとりをすることだと教えられ、教室の中で十歳ほど年上の方とやりとりをするようになりました。大変な思いをして書いて投函（かん）するとすぐに返事が来て、私もまた間髪を入れずに返事を書く…というくり返しのおかげでやっと自分らしいものが書けるようになりました。 いつしか郵便局や銀行のロビーで展示させていただくようになり、それがきっかけでたくさんの方々から励ましをいただき、やがて自分の本当の楽しみになってきました。そのうちぜひ教えてほしいという方もいて、私の先生に相談をしたところ、協会の講師認定講習に参加して見聞を広めてがんばれとの励ましをいただき、今年四月より月一回の講習に通い始めました。顔ぶれを見たところ、私が最年少のようです。久々に単位を取る、論文を出すというカリキュラムに緊張しつつ、次回三回目を迎えます。 その日の講義は「交流の醍醐（だいご）味」というテーマの内容でしたが、まず開口一番、先生がおっしゃられたのは「教えることは心を揺さぶることだ！」でした。もう私はその一言で先生に心を揺さぶられ、声の大きさ、力強さに魅入られてしまいました。蚊の鳴くような声で自分の強い思いが伝わるか！ わかってほしかったら体全体で訴えるんだ！ 教えるのは技術じゃない！ 知識じゃない！ 心の叫びだ！ そう言って日本全国を回った時のその土地の人々との出会い等を熱く熱く話してくださいました。 私も独身時代は専門学校で生徒を教えていました。ふり返ってみて、あれだけの熱意と気迫のもとに私はやってきただろうか？ うなずくことのできない私は先生という名前だけをもらい、自己満足で終わっていたのではないかと。さだまさしの「北の国から」の曲が流れ、富良野の人々との熱い交流の話で幕を閉じた講義でしたが、聞き終わった私は感動で涙ぼろぼろ。そうです、若いころの私に足らなかったものはわかってほしいという情熱と気迫、勇気だったのです。 その当時、私は体育の教師になりたかったのですが、商売屋の長女ということもあり無難な道を歩き、夢を口にすることもなく黙って嫁ぎました。でも今になってもあの時…という思いは消えません。やはり大切なことには真っ向から立ち向かわねばいけないのです。自分がこうしていきたいという強い思いは自分の言葉で訴えていかねばいけなかったのです。この思い、子供たちにも伝えて自分の道は自分で切り開いていってほしいと心から願っています。そして人に何と言われようとも自分の信じる道を熱い思いで語りつつ、全力投球で歩いていこうと今、心をあらたにしています。 (上毛新聞 2003年5月28日掲載) |