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◎より柔軟な開示姿勢を 特定非営利活動促進法(いわゆるNPO法)が施行されて今年四月で五年が経過する。全国では一万を超える団体がNPO法人として活動し、本県でも今年三月末で二百を超えるNPO法人が設立され、各地で活発な活動を展開していると聞く。営利を追求する団体(株式会社等)や公共サービスを提供する団体(行政)の間にあって民間が営利を求めない活動を展開することは、欧米、特にアメリカではノンプロフィット・セクターとして広く市民権を得ている。阪神淡路の震災を機に脚光を浴びた日本のボランティア団体等の法人格取得を制度化したNPO法だが、施行以来五年を経て問題視されている点をいくつか挙げてみたい。 昨年来、NPO関連のメーリング・リストで頻繁に意見交換があったのはNPO法人に対する「原則課税」論争だ。国は「公益法人制度改革」の大綱作成の中で財団法人などの公益法人、NPO法人、中間法人を一本化し、その活動に対し原則課税する案をとりまとめた。しかし、NPO法人等の猛反発にあい、今年三月末までに閣議決定される予定だった「公益法人制度等改革大綱(仮称)」を四月以降に持ち越し、最近ではNPO法人に対する原則課税案が非課税になるという噂(うわさ)も耳にする。 次に、「一般企業の活動とNPO法人の活動のどこが違うのか?」という声も数多く聞かれる。あるNPO法人の理事長が環境に優しいという浄水器を工事費込みで一台三十万円という価格で販売しているという記事を目にしたが、この理事長は浄水器をメーカーから仕入れる会社の社長も兼ねているという。NPO法人であっても収益活動は認められており、事業資金を調達するためにはそうした活動に頼ることも不可欠かもしれないが、度を越した営利活動ばかりが目に付くと「公益」の意味が非常にぼやけた感がする。 昨年八月、都内にあるNPO法人が全国三千八百のNPO法人に対して実態調査のアンケートを行った(回答率20・8%)。興味深いのは、活動のための資金を表す正味財産(資産―負債)の平均値が百七十四万円と厳しいだけでなく、収入に占める会費は7・3%、事業収入67・2%となっている。また、国・自治体からの補助金が約三割、公益法人からの助成金を約五割のNPO法人が受け取っているという調査結果となっている。これらの数値がNPO法人のすべてを物語っているとはいえないが、NPOの事業運営が予想以上に厳しいことがうかがえる。 市民活動の担い手として全国的に広がるNPO法人やその活動が本来の「信頼関係」を維持し、円滑な運営を広げるために、さまざまな側面をディスクローズ(開示)する必要があると感じる。組織の使命、財務内容、活動結果など法制度が要求するものだけでなく、より柔軟な開示姿勢が求められる。また、外部団体の組織や活動評価もますます重要になると感じる。 (上毛新聞 2003年5月19日掲載) |