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◎やさしい心が集う広場 心を上手に伝えられない子、行きたいところに思うように行けない子、みんなあどけない笑顔と限りない可能性を持った子どもたち。この子たちが楽しいおもちゃに出合うとこ、やさしい仲間に出会うとこ、笑い声がこだまして、歌声が流れて…。「ふれあい広場」のおおままおもちゃ図書館「もみの木」は平成四年十二月十二日、スタートしました。 週五日制に向けて、学校、PTA、地域それぞれの立場で熱心な討議が重ねられていました。一番の心配は、休日の子どもたちの過ごし方でした。図書館や美術館、遊園地など、国・県レベルで子どもたちの受け皿が検討され、九月の第二土曜日から実施されました。 ハンディをもつ子どもにとって、休日がふえることは、単純に喜ぶことができないこと。「この子たちが利用できる場所は、少ないからね…」。お母さんの沈んだ表情に、私の胸は痛みました。 無邪気に走り回り、自分の世界をもち、おしゃべりを楽しむ―。こういった行動が許されない場は、子どもたちにとって決して行きたいところではないはずです。お母さんにとっても、周りの人に気を使うことの多い場所。 では、子どもたちが思いっ切り羽を伸ばし、お母さんたちも気がねなく過ごせる所、そんな都合の良い場所はいくら考えても思いあたりません。主人に相談をして、おもちゃ図書館にたどり着きました。 東京の三鷹市に最初に誕生したおもちゃの図書館は、小林るつ子さんを中心とした人たちの手で日本中に広がり、群馬県にも前橋、高崎をはじめ、町や村に誕生していました。「もみの木」のスタートまでには、たくさんの人の心が一つになり、町の理解と応援もいただき、大きな支えとなりました。 回を重ねるごとに、お友だちもふえ、にぎやかな楽しい広場としてはぐくむことができました。 子どもたちにとって、どのような活動が良いのか。お母さんたちも、スタッフとして、ボランティアとして共に考え歩んできました。 その後、第四土曜日の休日にも開館。第二、第四土曜日の月二回の開館となりました。九月には、小平の里親水公園での「青空おもちゃ図書館」。緑の風の中で赤トンボと一緒に、しゃぼん玉や水ロケット、マジックショーに歓声をあげて青空の下のおもちゃ図書館を楽しみます。十二月には、サンタさんを待ってわくわくしながらのクリスマス会。二回の大きなイベントも組み、「もみの木」は子どもたちとともに成長し、昨年の十二月には十周年を迎えました。 この間、数えきれないほどのあたたかい風が「もみの木」に吹きました。中学校のブラスバンド部のステキな音色の風もありました。おもちゃの寄贈など、活動に欠かせない応援もいただき、子どもたちのための「ふれあいの広場」としてスタートした「もみの木」は、やさしい心を持った人が集う広場になっていました。 「誰もが秘めているやさしい心」に気づかせてくれる子どもたちの笑顔。「もみの木」のかけがえのない大切な宝ものです。 (上毛新聞 2003年4月16日掲載) |