視点 オピニオン21 |
■raijinトップ ■上毛新聞ニュース |
|
|
◎利用される「上毛線」に 上毛電鉄が運営する「上毛線」は、中央前橋駅から西桐生駅までの区間、二五・四キロを大胡駅や粕川駅、「東武鉄道・桐生線」が接続する赤城駅などの二十二駅をつなぎ、二両の連結により約五十分で運行されています。 昭和四十年代の初めには、沿線住民の通勤や通学の足として年間約九百五十八万人近くの人たちに利用されていましたが、昭和四十年代半ばからの急激なモータリゼーションの影響により利用者は年々減少し、平成十三年度の年間利用者数は約二百十九万人と全盛期の四分の一以下にまで落ち込んでいます。 利用者の減少に伴い、昭和四十九年度以降は経常損失が恒常化し、昭和五十一年度からは国と県からの欠損補助金の交付を受け、さらに、平成六年度からは国、県および沿線の七市町村(前橋市、大胡町、宮城村、粕川村、新里村、大間々町、桐生市)から、「近代化設備整備費補助金」の交付を受け、安定した運営と必要な施設改善を行ってきましたが、平成九年度をもって国の欠損補助制度が廃止されました。この廃止に伴い、上毛電鉄は平成十年度から十年間の設備改善計画を策定、国・県・沿線市町村ではこの計画を精査した後、総額で約二十七億円の近代化設備整備費補助を決定しました。特に最初の五年間は特例補助率(1/5または1/3から2/5にアップ)が適用されたことから、約二十億円の集中投資が行われ、これによって冷房車両の導入や駅ホームの改良、軌道の重軌条化、変電所無人化設備など、老朽化した施設等の改善を図ることができました。 また、群馬県と沿線七市町村では、平成十年度に「鉄道基盤設備維持費補助」の制度を創設しましたが、これは、線路や電路等のインフラ部分(鉄道基盤=「下」)の維持経費を公共団体が負担し、列車の運行に要する人件費など(経費=「上」)を事業者である上毛電鉄が運賃収入などで賄うというものです。 この補助制度は、「群馬型上下分離方式」といわれています。 平成十五年度から五年間の補助については、群馬県および沿線七市町村で協議した結果、「利用者へのサービス改善と収入の確保、経費の節減とさらなる経営の合理化推進など、上毛電鉄自らの自助努力を前提とすること」とし、引き続き支援していくことが合意されています。このほか、沿線の七市町村では、上毛電鉄の安定的運営のための支援や沿線地域の振興を図ることを目的とする「上電沿線市町村連絡協議会」を昭和五十五年に組織し、群馬県とともに利用促進に関する広報活動や支援事業を実施しています。平成十四年度は、「上電乗り方教室」の実施や利用促進に関するポスターの作製等を実施しています。 今後、事業の運営主体である上毛電鉄の労使が一体となり、これらの支援策を効率よく活用するとともに、再建計画に向け、安全運行はもとよりサービスの向上に心掛け、より多くの沿線住民に親しまれ、利用される「上毛線」となることを希望してやみません。 (上毛新聞 2003年3月22日掲載) |