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◎自分でも驚く長続き 昨年の夏ごろから、毎朝一時間ほどの散歩を日課としている。もとはといえば、昨年人間ドックに行った際に、主治医から運動不足気味と指摘をうけてからのことで、果たして長続きするものかどうか、自分でも半信半疑での見切り発車といったところであった。それが意外にも、毎日とは言わないまでも、長続きしているのに驚いているのは、ほかならぬ自分自身であろう。 夏場は日の出も早く、五時半すぎにはスタートできたが、次第に日の出も遅くなり、冬至のころは七時近くまで明るくならない。従って歩く時間も短くなり、さらに今年は桐生にも雪が多く、なかなか思うように歩くことができず、そんなことが気になるのも、いよいよ習慣として定着化しつつある証拠と一人悦に入っている。 それではいよいよ、ここのところの定着しつつあるコースをご紹介しよう。まずはわが家を出て、桐生大橋へと向かう、夏場でも気の早い通勤の車は、桐生市外方面に走り始める。近年の道路整備に伴い、曲がりくねってしまったこの道は、隣接する笠懸側のプランがまだ見えてこない。桐生大橋の脇から土手に出て、そこから川のそばに走る散歩道に降りる。土手の上から見る角度より視線に近い位置で川が見えてくる。左前方に太陽が昇り始めると、川面がキラキラ輝きはじめる。 そのあたりまで来ると、いろいろな人を目にするようになる。若い人やお年寄り、ジョギングをしている人や犬を連れている人。不思議に朝は人を優しくするのか、行き交う人に挨拶(あいさつ)は欠かせない。最近取り壊しになった錦桜橋の下を過ぎるころにはかなり体も温まってくる。そのあたりは野球・ラグビー・サッカーのエリアが連なるグラウンドとなっていて、休日ともなるとお年寄りから子どもまで、さまざまな人たちが集まってくる。そういえば、ある秋の日にはグラウンドゴルフの大会を催しているお年寄りの集団にお会いしたが、夢中に球技に取り組む姿にしばらく見入ってしまった。 そこを通り過ぎると次第に息も激しくなり始め、右手の土手に登る階段やスロープが帰途へと誘い始める。通常は一番遠いスロープを選び土手に登るとあさひ養護学校の正面に出る。土手に出て戻り始めると、遠くに赤城山、近くには吾妻山と今までとは違う景色が目に入ってくる。再び錦桜橋の袂(たもと)まで来て、新桐生駅方面に向かう。 信号をいくつか過ぎるころには登校の高校生の自転車を見かけるようになる。駅に近づくあたりには古い桜並木がアーチをつくる。春のほんの数日ではあるが見事な桜のトンネルをつくり出す。休日など少し遅めのスタートをした日には、途中で朝食のパンを買うコースに変更することになるが、いずれにしてもまだ静かな住宅街を通って家までたどり着く。 こんな気ままな散歩だが、天気の悪い日や、前日に飲み過ぎた日などは出かけない。続けなければ続かないし、続けようとしても続かないものかもしれないなどと、やはり一人悦に入っている。 (上毛新聞 2003年2月25日掲載) |