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富岡手をつなぐ親の会会長 岩井 三千夫さん(富岡市南後箇)

【略歴】みやま養護学校PTA会長、県特殊教育PTA連合会長を歴任。1999年から現職。もみじ学園オンブズマン、あそか会赤城野荘保護者会長、富岡市心身障害児者育成会長を務める。

支援費制度


◎使い方で大きく“成長”

 手をつなぐ育成会(親の会)は平成十三年、東京大会で五十周年を迎えました。戦後の混乱の中で「知的障害」の子供を持つ三人の母親の呼び掛けで生まれました。涙で始まった草の根運動。五十年たった現在、全国レベルの組織となり、知的障害児・者の福祉、教育、労働等々、今日の親の会活動の基本となりました。

 二十一世紀に入り、障害児・者に対する福祉施策が措置制度から契約(利用)制度へ大きく変わります。福祉法の改正、すなわち社会福祉基礎構造改革で、来年四月より導入される支援費制度は知的障害児・者が利用する側からすると、今までの行政から与えられる福祉から、利用者自身に提供される福祉サービスの中から自分(本人)に合ったサービスを選択できるようになり、制度的には大幅な前進が見られます。

 しかし、居宅サービス、施設サービスを含めて提供される福祉サービスを障害児・者、または私たち保護者自身が「本人が地域の中で普通に生活する」ために何が必要かを見極める必要があります。また、厚生労働省が施設に入所している重度の障害者についても従来の入所施設偏重主義から在宅へと大きく方向を変換している流れの中で、保護者としても地域社会の中で、障害児・者が自活して生活できる環境を整えていくことが必要であり、重要なことだと思います。前述のような厚生労働省の支援費制度の基本的な考えを踏まえ、保護者、施設利用者ともども、障害児・者本人が地域の中で生活するための援助、施設支援のあり方、保護者の役割等あらためて再考する必要があるのではないか痛切に感じます。

 制度は利用する、すなわち使い方により大きくより豊かに充実し“成長”していくと感じています。私たち親の会も地域に独自の支援体制をつくる必要があります。知的障害児・者本人のための福祉は本人抜きでは考えられません。誰のための支援なのか、誰が声を上げていかなければならないのか、たどたどしくもいいから本人たちの声を聞きながら一緒に支えてつくっていかなければ本当の支援にはならないと思います。一人ひとりの夢の実現、親の会だけではできないことは、地域の人たちとの交流の場を多く持ち、多くの人たちの知恵とエネルギーを結集すれば必ず実現できると実感しています。「共に生きる」、そんな地域社会の実現を夢として活動をしてまいりたいと思っています。

(上毛新聞 2002年12月30日掲載)