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◎環境に配慮した利用を 自動車検査登録協力会発行の平成十三年度版「わが国の自動車保有動向」によりますと、群馬県の自家用車一台当たりの人口は一・七六人と全国で第一位となっていますが、一世帯当たりの台数では富山県、福井県に続いて三位となっています。また、上位二百都市の都市別一台当たりの順位では前橋市が一・七四人と四位にランクされており、一位は富士重工業群馬製作所のある太田市、二位にはトヨタ自動車工業のある豊田市がそれぞれトップを分け合っています。この二都市は、自動車を中心とした産業構造となっていることを考えあわせれば、上位にランクされていることは十分に理解できます。 さらに、都市別の三位は伊勢崎市、五位は高崎市と、上位五都市の中に群馬県の四都市が入っていることなどから、あらためて、群馬県は自動車を中心とした都市形態になっていることが分かります。 自動車はドアツードアで移動できる大変便利な乗り物ですが、半面、さまざまな社会問題も抱えています。排気ガスによる地球温暖化の問題、交通事故や交通渋滞などのほか、中心商店街の空洞化、公共交通の衰退、高齢社会への対応などです。 地球温暖化の問題ひとつを取り上げても、自家用車を所有する一人としては、いろいろと考えさせられます。一九九七年十二月に採択された京都議定書の中では、二〇〇八年から二〇一二年までの間に、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを、九〇年比で6%削減する、という数値目標が定められています。九九年の日本国内における二酸化炭素の排出量のうち、自家用車や公共交通を含む運輸部門は全体の21・2%を占め、年々排出量も増加し、九〇年比では23%の増加となっています。自家用車は運輸部門の中で56・4%を占めていますが、公共交通機関からの排出量は安定傾向にある中で、自家用車からの排出量が引き続き増大することが予想され、この対策が急務となっているからです。 このため、エコドライブの促進や、余暇活動などでの公共交通機関の利用呼びかけが、国民運動として推進されています。 群馬県のように自家用車が生活の移動手段として92%以上を占めている現状では、自家用車を否定することではなく、自家用車と共存した公共交通を考えることが自然であると思います。その中で、自家用車の利用者が交通ルールやマナーを守り、環境に配慮した利用をするとともに、自家用車から鉄道や路線バスなどの公共交通へ変換できるよう努力してほしいと思います。 前橋市では第五次総合計画の中で、道路交通、軌道交通、自転車、歩行者など各種交通手段の連携を図り、地域を結ぶ総合交通ネットワークの確立を重要課題として掲げておりますので、市民の皆さんと共にこれらの実現に向け、できるところから努力していきたいと考えています。 (上毛新聞 2002年12月20日掲載) |