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◎住民巻き込み活動展開 二十一世紀は大きな変動の時代、グローバルに地域や国際社会が変化する時代になると予想されています。その変動の大きな要因としては、以下の四つの事柄を指摘することができるでしょう。 (1)経済成長とその成果の帰属に関する緊張 (2)地球環境問題と資源の消費・配分に関する緊張 (3)人間・資金・情報・商品・技術のグローバルな大移動 (4)人口構造の大変動 これらはいずれも二十世紀後半から顕著な兆しが見られた事柄ですが、そもそもは世界の近代化と産業革命に源を持つ、人間とその集団(社会)の変化がもたらしたものです。その変化の結果、「地球」という有限な物体の上で、「無限大への発展」の限界に突き当たり、「持続可能な発展」という価値観への頭の切り替えを迫られているといえます。 このような変化の時代には、新しい人材の出現が期待されており、そのための人材育成が要請されます。私が所属する東洋大学国際地域学部は、そのような時代の要請にこたえるべく設置されてから六年目を迎えています。この間に、国際地域学科では二度卒業生を社会に送り出し、国際観光学科は設置されてから二年目を迎えています。大学院についても、修士課程が二年前に設置され、来年四月には博士課程が設置される予定です。 「国際地域学」という学問分野はまだ確立された内容を持っているわけではありませんが、私たちはその形成への努力を続けています。国際地域学科は入学定員百五十人のうち30%の四十五人が留学生枠であり、四年生まで合わせると約百七十人の外国人が学んでいます。また教員も大多数が企業、官庁または国際機関等での職歴を持つ実務経験者であり、教育研究内容が文理融合型であることとともに、教員・学生の多様性という点でもユニークな学科となっています。 設置以来、近隣の市町村から多くのご協力をいただいており、大学でも地域の方々との連携・地域への貢献について考え、実行に移しています。留学生と地域の人々や子どもたちとの交流、環境保全活動への参加、大学の施設の地域への開放は定着しています。また、近隣の市町村が開設しているホームページを大学のサーバーを介して連結し、サイバー上の共有空間(電脳空間「雷共和国」)を開設しており、現在は邑楽・館林地区六市町村の他に栃木市、古河市、幸手市を加えた県境を超えたネットワークが実現しています。さらに、平成十四年度から始まった板倉町の第四次総合計画(平成十四―二十三年度)は、板倉町(町民)と国際地域学部の教員グループが協力して構想・作成したものです。 国際的には、オーストラリア、タイ、中国、韓国、アメリカの大学との交流を進めており、今後は近隣の地域との交流とそれらの海外の大学を拠点とする、外国の地域との交流を結びつける活動を展開し、学生と地域の人々を巻き込んだ「新しい地域のかたち」に貢献できる人材の養成に取り組んでいきたいと考えています。 次回からは、このような視点の上に立って、世界や地域の問題を取り上げていきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。 (上毛新聞 2002年12月18日掲載) |