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◎成長著しい学生たち 最近の若者は…よく聞くセリフである。これはあまり良くないことをいう時に使う言葉であろう。しかし、すてきな最近の若者と昨年(平成十三年四月)出会った。 関東学園大学入江ゼミ企画チームは、平成十三年度地域づくりオープンカレッジ事業(県企画部地域整備課地域振興グループ)の一環として、太田市にある太田駅北口周辺地域を対象としたまちづくりの提案を行った。入江ゼミ企画チームは、十一人の二年生で構成された学生主体のチームである。当然彼らはまちづくりに関してまったくの素人である。 平成十三年四月から始まった当企画は、五―九月までの期間、北海道から九州まで車と自分たちの足を使ってつぶさに市場調査を実施した(対象地域・北海道=伊達市、小樽市、札幌市、ニセコ町、秋田県=男鹿市、群馬県=館林市、高崎市、埼玉県=さいたま市、富山県=富山市、福岡県=福岡市、熊本県=熊本市)。十月からは中間報告を交えながら対象地域の住民と意見交換会を数回にわたり実施した。ことし二月には社団法人太田青年会議所主催による“市民自立のまちづくり”において太田市の清水市長を前にして堂々たるプレゼンテーションを実施した(参照・三月一日付本紙)。 プロジェクトを通じて学生の日々の成長が手にとってみえるかのように著しく、また独自的な想像性豊かな活発な議論の展開は自分の学生時代と比べればうらやましく思えるほどのものであった。 最終報告書において、入江ゼミ企画チームの研究成果報告は“まちづくりにおいて何が一番大切であるか”に着目したものであった。その結論は、「まちづくりにおいて最も重要なのは地域住民の意志」ということになっている。それは、地域住民の“気持ち”を大切にしたまちづくりが理想のまちづくりであると、またその“気持ち”づくりを行うことが継続するまちづくりへとつながり、彼らが上州に具現したい「歩けるまち」の実現となるものである。 当プロジェクトは対象地域に提案を行うことでより効果的な再開発事業が実現できるものと考えられる。つまり、一番得をするのは対象地域である。しかし、これにより得をしたのはプロジェクトメンバーである学生諸君である。企画において、学生生活に厚みが増し、さらに充実した毎日を送ることができたのである。 私は太田にきてまだ九年目と日が浅い。上州はここにしかない良さをたくさんもっている。しかし、積極的であるとは決していえない。活気あるまちより動きがみえにくいまちの方が多い。水のにおいが分かるラクダは砂漠にいくとその潜在的な能力を発揮し人間の目と足になる。魅力ある上州のまちを築き上げるには動き出す最初の一歩が肝心である。 (上毛新聞 2002年11月14日掲載) |