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◎まじめな姿勢に感動 入山小学校の児童のみなさんが、総合学習の一環として、野反湖に生息する動物や周辺の植生、ごみの問題などを調べる「環境講座」のお手伝いをさせていただく機会がありました。 これは野反湖のキャンプ場の自然環境が、ある情報誌によって日本一に選定されたことにヒントを得たタイムリーな企画でした。 一回目の現地調査では、地元の中学生が「地域ふれあい学習」の一環として植栽したコマクサやシラネアオイなどを見ながら、個々の植物に適した環境と、環境の変化によって移り変わる植生の話をしました。 二回目の調査では弁天山に登って、周辺の自然林や植林したカラマツ林を見ながら、山をすみかとするツキノワグマやテン、オコジョやヤマネの食べるものや、冬の過ごし方の話をしました。そういう話の中で「パイオニアプランツ」「湿性遷移」あるいは「食物連鎖」といった、小学生では理解するのが難しいかなと思う言葉も使ってみました。 こうした活動体験を通して個人個人が気づいた問題点や興味をもとに、野反湖とごみを考えるグループ、野反湖の環境保全を考えるグループ、野反湖に生息する動植物を調べるグループの三グループに分かれ、それぞれのグループのテーマに沿った活動を始めました。 ごみを考えるグループは空き缶や、たばこの吸い殻などを拾う清掃活動をしました。 環境保全を考えるグループは霧雨の中を、弁天山のハイキングコースの誘導ロープの補修や「きれいな野反湖大切に」などの標語を書いた看板を作り、八間山登山口など四カ所に立てました。このグループの活動内容は看板を作り始めたときから立てるまでの苦労や楽しさが、『きれいな野反湖』という手作りの新聞に生き生きと報告されています。 野反湖の動植物を調べるグループは、オコジョやヤマネなどの食べ物や冬の過ごし方を調べて書いたり、イワカガミやシラネアオイなどの植物の絵を描いた冊子を作って、野反湖に来た観光客に配って発表会をしました。 一人ひとりの児童が自分の担当した動物や植物を緊張しながら説明する姿は、かわいい動物の絵や植物の絵とともに、観光客のみなさんには大好評で、大きな拍手を頂きました。 環境を考えるとき、私たちは希少動物や植物あるいは地球の温暖化などといった、ニュースメディアがとりあげる出来事に関心が向きがちになります。 身の回りにいつもある自然や出来事こそが環境の基本だと知ってほしいと思い、繰り返し「環境問題とは身の回りの出来事」という話をしました。初めは児童のみなさんに多くを期待していたわけではありませんでしたが、そんな私の想像を超えた素晴らしい感性と、ものごとにまじめに取り組む姿勢を見せていただきました。 この環境講座を足がかりとして、地域の環境から地球環境まで、広い視野で考えられる人間に育っていくことを期待したいと思います。 (上毛新聞 2002年11月13日掲載) |