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◎女性にとり永遠の問題 女性が仕事をしていく―。それはとても難しいことだとあらためて思う今日このごろです。ショッピングセンターへの出店のため、法人を立ち上げたのですが、毎日が戸惑いの連続です。造り酒屋の女将(おかみ)としての動きに加えて年間休日六日という店を持ったわけですから忙しいのは当然です。しかし立場変われば見えなかったものが見えてきます。小売り専門の業者となってみた時に、問屋やメーカーの悪いところがよく見えてくるから不思議です。末端で対お客さまである小売業者がどんなに早く品物が欲しいか、メーカーに対してどんな要望を持っているのかがよくわかりました。また、路面店からショッピングセンターに出たことでさまざまな客層の気持ちが理解できるようになりました。 若年層とのつきあいの中で強く感じるのは、責任ある仕事を嫌う傾向があるということです。そして安易に「できない」と言う! まだやってもいないのに…。経営者としては失敗したことを責める気はないし、経営者の仕事はクレーム処理だと思っていますから。でも失敗することを恐れるあまりに何もしないという選択をする若者が多いのはとても残念なことだと思います。私のように思いついたら行動↓失敗する↓反省しつつまた思いついて動く。その繰り返しをすることで失敗することが怖くなくなります。懲りないと思われるでしょうが、たまにしか動かない人が動くと大きな失敗をして立ち直れません。ですから私は失敗したことより、自分で考えて具体的に動いたことを評価してやれる経営者でいたいと思っています。 しかし、仕事で取引先が増えたり打ち合わせが夜になったりすると、何としても難しいのが家庭との両立です。女性がどこまで仕事をやれるかは、どこまで「個」を捨てられるかということだと思います。私も三人の子持ちですから、子供の行事等に出られないことがほとんどで申し訳なく思うこともしばしばです。 けれどそこで個人の生活を優先すれば「しょせん女は」と言われてしまいます。たとえ仕事でも、夜の会議が続けばさすがに嫁はつらいですね。だから誰が一番の協力者かをきちんと見極めて根回しをしなくてはなりません。そしてまたそれに対するあと回し(お礼)も重要だと思います。そして家庭と仕事がいつも両立しているということはないと思います。必ずどちらかに重きが置かれれば必ず一方が手抜きになる…。それは仕方ないことです。仕事に比重がかかった時、家庭のことを考えるとこれ以上は動けない、ということもあります。こんな時自分が独り身であったらと思うことも正直あります。けれど失うものの大きさは計り知れません。夫や子供たちがいてくれるからこそ頑張れるのでしょう。 今、女性起業家を応援する立場でありながらこれは永遠の問題として模索中です。そして黙々と頑張っている子供たちに反対に啓発されつつ、「さあ今日も頑張ろう」と飛び出していく私です。 (上毛新聞 2002年11月9日掲載) |