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◎点から面に広がる交流 今月中旬、来年八月に行われる「第二回日中友好吹奏楽演奏大会」の準備会議のため上海市を訪れた。上海吹奏楽協会会長(上海音楽学院管弦楽系主任教授)、副会長(上海オペラハウス常任指揮者)らと会談した。両人とも上海音楽界を代表する実力者だが、会長が四十二歳、副会長が四十六歳と実に若い。 事前に打ち合わせ事項を伝えてあったのだが、彼らなりに大会のイメージが出来上がっていた。ホールを使わず大きな体育館に特設ステージを造り、数千人の観客を集め最後には出演者全員(一千人)で友好の大合奏。それを全中国にテレビ放映する、というスケールの大きなものだった。 これだけの大仕掛けになると相当な経費が掛かるが、「お任せください。われわれが集めます。児玉先生には負担を掛けません」ときっぱり。昨年開催した第一回北京大会の大会経費は全額、日本側負担だったことを思うと、上海の国際都市としてのプライドと実力を感じざるを得なかった。 このような国際交流大会を毎年開催していると、各国から発展的な要望がたくさん出てくる。韓国からは「中国と交流したいので指導者を紹介してほしい」と依頼された。早速、それを中国に伝えると、「それなら皆で集まろう」ということになり、来年十月に東京で「東アジア吹奏楽会議」を開催することになった。これで、今まで国家間の点の交流がいよいよ東アジア全域という面になる。 代表者は国家単位でなく、地域で決めた。中国は大きすぎるので東北、華北、東方、南方、西北、西南に分け、それに東日本、西日本、韓国、モンゴルによる十地区。今後は全地域間で協力しながら吹奏楽の普及と発展を進めることになる。 一方、欧州の友人(ブルックナー音楽学院教授、四十三歳)からも世界的な普及、発展を推進するプログラム考案の要請があり、「世界吹奏楽コンクール(ワールドカップ=W杯)」の開催を提案した。 主催は各国から代表を集め実行委員会を組織。楽団の規模、年齢別に十五のカテゴリーを設定し、全世界から出場楽団を募る。表彰は「金、銀、銅」で日本のコンクールと同じ。金賞の中から最優秀団体にW杯を贈る。参加団体の各個人にもメダルを授与する。大会最終日に成績発表を兼ねた全員参加の交流会を行う、というものだ。東アジアの仲間たちに相談したら、皆、賛同してくれた。 南太平洋のパラオ共和国にも話を持ち掛けた。楽団創設に尽力した前文部大臣(現官房長官)は語った。「喜んで出場します。賞は気にしません。パラオの出場はきっと世界に驚きと衝撃を与えるでしょう。私たちが出場することは金賞以上に価値があるのです」 第一回世界吹奏楽コンクール(W杯)は二〇〇四年七月二十二日から四日間、オーストリア・ウィーン市のコンツェルトハウスを主会場に開催する予定で準備を進めている。 (上毛新聞 2002年10月29日掲載) |