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◎歓声の聞こえる場所に 前回(六月四日付)、平地林の整備と植生などの変化についてご報告しましたが、その続編です。特に印象的なのが「キノコ類」で、整備を始めた当初はほとんど目につくことがなかったのですが、三年目の昨秋から所々で散見されるようになり、今春からは、いたるところで一斉に発生してきた感じです。 森林についてはすべてが見習い中ですが、特にキノコについては何の知識もありません。名前や食毒、生活環境などが知りたくて、ポケット判を開き、写真を撮ることで忙しく、作業は一向にはかどらない日々です。もちろん、にわかの独学ではすぐに判別できるわけがなく、せめて食味して食毒の確認だけでもしてみたいものと、強い誘惑を感じます。 キノコの発生が漸増傾向であることは、いわば菌類による物質循環の活動が活発・順調に推移しているとも考えられるわけで、整備結果が見た目でだけでなく、林内環境そのものが、平地林本来の姿(健康体)に戻りつつあるとも考えられます。もしそうだとすれば、素人の手さぐり活動の私たちにはうれしい限りであり、今後の大きな励みになります。 今ひとつの大きな楽しみは、自然の変化だけでなく、やま(平地林)に目を向けてくれる方々が年々多くなってきている実感です。住宅と近接した場所であるにもかかわらず、今までは子どもたちにはやまには近寄らないようにとか、大人でも夕方以後はやまの道は通らないとか、田畑で作業するときも、女性の方はやま側に背を向けて作業しないなどの場所になっていただけに今昔の感です。 多くの方々の散歩やジョギング、クリ拾い、虫捕りなどの場所になってきていますが、特に子どもたちの来訪が増えており、それは一人でとか、仲良し同士でとか、家族でとか、ボーイスカウトなどの組織でとか、さまざまです。 それらの中で熱心で早くから興味を示してくれている十数人に呼びかけて、グループ的な活動も始めています。第一は子どもたちが自分自身で楽しく遊ぶことですが、その中に植樹、花壇づくり、リースづくり、各種の遊び場づくり、野鳥の水場づくり、対外行事参加などのテーマ性を加味したもので、その中から自然の仕組み、自然と人間のかかわり、自分たちの役割などを体験的に感知・習得してくれれば、を願いにしています。 一方、町内小学校五年生の総合学習で、環境教育の場として、この平地林が取り上げられ、すでに学年全児童の下見や看板の製作などが始まっています。今後いくつかのテーマを選択し継続学習が予定されているとのことで、平地林の公的活用について、私たちにも貴重な学習になりますので、要請があれば積極的に共学したいと願っています。 いろいろなチャンネルでの関心度向上は、近い将来にやまが、昔のように日々子どもの歓声が聞こえる場所になる期待とともに、そのことが環境保全を考える原点になってくれば望外の幸せと、楽しい夢を見させていただいています。 (上毛新聞 2002年7月31日掲載) |