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◎専門医の診察受けよう 医療の進歩は著しく、医師の専門細分化が進んでいます。なんでも治療できる医師は現在の医療教育では生まれることはなく、専門医のみが多くなってきました。開業医もその専門教育の影響により、専門の科目を持つことが多くなってきています。その開業医の選択には、自分の病気の専門であるかどうか、専門でなければ、適切な病院を紹介する情報を持った医師かが重要です。 開業医の立場からすれば、来院された患者さんに対し責任を持って診察するということは、自院で診られる病気の種類、重症度を見極め、自院で診察を継続するか、どの病院に紹介するかを決定しなければなりません。それができるように、周囲の医療機関の診療内容の情報の取得は、最低限必要と考えられます。この紹介先病院の確保は現在広告できるようになっており、広告している医療機関もあるのでそれが参考になります。 しかし、問題となるのは、広告に出されていない専門医情報と規制のない診療科目の標榜(ぼう)です。より良い医療を受けるためには、自分の病気の専門の医師はどこにいるのかを知ることが重要であります。その意味では、医師選択のためのメニューというべきものである診療科目の適正化、専門医の情報開示を優先させるべきであると考えられます。専門外の医師に受診してもらうことは、言い換えるとすし屋さんに入って洋食を注文するようなものでないかと思います。このようなことは医療機関ではよく見られます。 それは、この診療科目は医師であればどんな科目をあげてもよいことになっていることによります。良心的な医師は自分の研修履歴に従って標榜科目を決定しますが、一部(多く?)の医師の診療科目は、それまでに研修を行ってきた診療内容とは全く関係のない科目、つまり患者を呼べるような科目も掲げます。従って、標榜科目ではどの専門の診療を行っているのかは、全く分からない状況だということです。つまり、すしが専門なのに、洋食もあります、としているようなものです。 それでは専門の医師を探すのにはどうするかと考えると、各学会が認定する専門医というものを目安にする方法があります。専門医はその科目の最低ラインの知識等を持っているとされる基準であって、その医師が一番優秀であるとの証ではありませんが、その病気の経験の少ない医師と比較すれば、間違った医療をする可能性は極めて少ないと考えられます。 この四月、その専門医を表示できるように医療法の改正が行われました。しかし、各学会の申請が厚生労働省に対して全く行われていないために、いつになったら表示できるようになるのか分からない状態です。患者の必要とする情報を隠したままで診療し、専門でもない医師も専門医のごとく診療をしている可能性があるということでは、患者の医療不信を招くことは間違いなく、今後大きな問題となっていくと思われます。 (上毛新聞 2002年7月21日掲載) |