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◎女性もプレーの主体に 先日、大学食堂に三人の女子学生が、ものすごい勢いで走って入ってきました。ジャージー姿で手には水を入れるためのペットボトルをいくつか抱えて、とても急いでいる様子でした。今回のサッカーワールドカップの盛り上がりとともに、私の在学している大学でも、校内サッカーリーグが開催されていたのでした。彼女たちは、そのリーグに出場しているあるチームのマネジャーだったようです。 私はその時、疾風のごとく走り去っていった彼女たちの足の速さと、真剣な表情から伝わってくる“勢い”にとても圧倒されたのでした。と同時に、「奇妙な印象」も受けたのです。彼女たちはプレーヤーとしてそのリーグに参加しているのではなく、サッカーをプレーする男子学生のために“かいがいしく”サポートするマネジャーとして参加していたのです。つまり私の「奇妙な印象」というのは、足の速さを男子学生のサポートのために生かしている女子学生を見てわき起こったものだったのです。私は「やさしいのねえ」と思いながらも、「あんなに速く走ることができるのなら、プレーヤーとして参加すればいいのにね」と、一緒に食事をしていた友人に思わずつぶやいてしまいました。 この校内リーグにエントリーしているのはすべて男子学生からなるチームで、あるチームのプロフィルには「女子マネジャー募集中」と書いてありました。私が食堂で見かけた女子学生たちも、おそらくこのような形でマネジャーになったのでしょう。マネジャー業というのはとても大変で大切な仕事ですが、「プレーする主体」ではなく、その主体を支える「裏方仕事」が大半です。小規模な校内リーグであれば、プレーヤーが自分たちの裏方仕事を自分たちですることだってできるはずなのです。それなのにその裏方仕事の従事者として「女子」を限定するのは、いったいどういうことなのでしょうか? 女子学生もなぜサッカーを「プレーする主体」にならないのでしょう? 日本にもLリーグというセミプロの女子サッカーリーグが存在します。一九八九年に日本女子サッカーリーグとしてスタートしました。また、女子の日本代表は男子よりも七年も早くワールドカップに出場しているのですが、ご存じでしょうか? 私の友人は、大学時代からサッカーをはじめ、現在はプレーヤーを続けながら、若手育成のため、そして日本の女子サッカーのため、指導者としても日々頑張っています。去年の夏、彼女の率いる国体チームが群馬県のグラウンドにやってきました。的確に自信を持って選手に指示を出す彼女の姿はとても格好良く、サッカーが好きで好きでたまらないという様子でした。サッカーを心から愛してやまないのは男性だけに限りませんし、サッカーは男性のスポーツという見方は正確ではありません。女性の皆さん、裏方役もいいのですが、自信とプライドを持って「プレーする主体」としてサッカーを、そしてスポーツを楽しみましょうよ! (上毛新聞 2002年7月6日掲載) |