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◎同志の作品を世に出す 私の“守備範囲”といえる、大衆歌謡詩と童謡詩にかかわる本県に関連の同人誌に目を向けてみたい。青春時代、歌謡を含めた総合文芸を対象に発行・編集にタッチしたことがあるが、根気がなくて“三号誌”に終わった苦い経験が。 発行の一理は内容を問わず、同人の作品掲載にある。大衆歌にしても童謡にしても究極の目標は、同志の作品を世に送り出すことだと思う。原稿の集まり具合と併せて、会費に頼った出版費などに気遣いながら、粘り強く続刊している幾つかの同人誌(廃刊も含む)を紹介したい。 《歌謡》周東敬二氏(桐生出身)が発行・編集人の『地平線』は、一九四九年に創刊(月刊が原則)。七○年ごろ、居を高崎から埼玉・深谷に移して活躍する同氏は、七十六歳の高齢に。今年六月までに五百四十二号もこなした。全国に誇る息の長い同人誌だ。同人の数は三十人とか。『地平線』に発表した中から、『アカシアの雨がやむとき』や『小島通いの郵便船』などの大ヒットが誕生しているという。 また、高崎出身の故牧房雄氏(東京・葛飾区)らが責任者の『幌馬車』(創刊は昭和初期)。その後、『歌謡ろまん』に改名もロングラン刊行で知られる。季刊で通算五百二十号を超えた業績は、高く評価される。牧氏が昨年六月、八十二歳で他界されストップしたまま。残念でならない。『幌馬車』時代は、同氏ら数人が輪番制で編集業務に携わったと聞いている。 さらに大澤陽央氏(高崎)が刊行の『幹』と、岩倉すすむ氏(玉村)の『らいめい』に触れる。前者は六七年に創刊の月刊誌。息切れすることなく、これまでに四百二十二号を出した。『幹』と命名したのは、「仲間同士が大きく伸びる」の願いが込められている。創刊から加わっている一人に、紫藤孝氏(高崎)が。一方、後者は季刊。九二年からこれまでに三十三号を数える。童謡や付曲コーナーも設け、毎月第四日曜に作品技術の向上を目指して研修会を開くといった熱の入れ方だ。さらなる飛躍を期待したい。 《童謡》榛名町にゆかりのある詩人・五十嵐まさ路氏(一九二○―九三年)が編集の機関紙『CANARY』を記す。創刊は五五年。同氏は『赤い郵便馬車』などを手掛けた詩人で、九三年に逝去した。健在であった約二十八年間に百余号の刊行に努めた。 私が所属の「ぐんま童謡作家の会」(志村甲郎会長)は、九五年十月に創設された。現在のメンバーは二十七人。詩人、作曲家の作品発表の場でもある『ぐんま童謡・作詩、作曲集』として作詩集二十三号、作曲集二十二号を送り出している。童謡を歌う音楽サークルなどの協力を得て、地味ではあるが過去三回、「ぐんまで生まれた新しい子供のうた―」と銘打って、発表の機会を持つことができた。まさに手づくりである。 (上毛新聞 2002年7月1日掲載) |