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◎林内植生に大きな変化 緑が濃くなり、やま(やまは平地林のこと)は一段とにぎやかな季節になりました。木々がワイワイと大騒ぎしながら先を争って新芽を出し葉っぱを広げ、木間を埋める陣取り合戦の様相です。やがて緑の天井ができると、林内は間接照明になり、野鳥の声が何重奏にもシンフォニーとして響きわたる自然音楽ホールの世界に変化します。春のやまは本当にエネルギッシュで、ドラマチックです。春とは木々の枝が張り、エネルギーがやまにはちきれるから「はる」と言うんだ―は、私の勝手な解釈です。 さて、平地林の整備・保全の活動を始めて最も古いフィールド(新福寺地区)は四年目に入ります。活動を始めて一―二年間は、林内植生について大きな変化を実感することはなかったのですが、三年目に入ると、松やクヌギ・コナラ・シラカシその他多くの樹木が一斉に実生してきました。野草類もまったく同様ですが、特に本年は、今までまったく見ることもなかった貴重種がいくつも再生してきて、目を見張る思いです。 また昨秋は、初めて数種類の食用キノコを確認、採取しました。昔はよくキノコが生えたと聞いており、いずれはそのような状況になればいいなと思っていたことが早くも現実になり、その食味が格別であったことは申すまでもありません。 本県における松くい虫被害は二十四年前から始まっており、緑の保護のため、防除活動が実施されているものの、広域的に蔓(まん)延の状況に高どまりしています。当町においても、横ばい傾向ですが、この地区についての松枯れ伐倒は、やまの整備を始めてから、本数で54%(材積率64%)に大きく減少してきており、今後の推移に大きな関心を持っています。しかし、松枯れが続く限り、遅かれ早かれ、平地林の松はやがて消えてなくなると言われていますが、この地区は、松枯れも少なくなっているだけでなく、前述の通り、すごい勢いで実生が始まっていますので、少々の松枯れがあっても十分再生されるだろうと、希望的になってきました。 四年目の今年は、やまの再生状況がより一層顕著で、毎日毎日が新しい発見の期待で心躍るものがありますが、ただの興味だけではなく、植物およびそれと関係の深い鳥類、チョウ類、昆虫などを一体とした正確な調査記録が、ますます緊急の課題と考えています(すでに一部進行中ですが…)。 フィールド(約十三ヘクタール)はほぼ全域が使用可能で、ツリーハウスなど若干の手づくり施設もできました。起伏も少なく、子どもたちの自然観察向きだろうと思います。ぜひ多くの方々にご活用いただくのが願いですが、所有者の方々の環境保全の観点からのご理解で整備しましたので、その趣旨から、自然保護、防災面などからのマナーを守っていただきたいことと、特に団体でご使用の場合、若干の「約束事」がありますので、ご一報いただきたく存じます。 (上毛新聞 2002年6月4日掲載) |