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◎町会議員ら経歴多彩 歌が“独り歩きする”ということは、真のヒットを意味する。レコード、テープ、CD化(商品として)した歌い手さんなら、誰でもそれを夢見る。ここでは本県にかかわる大衆的歌謡曲で、コツコツと活躍している歌手を中心に、幾つかのタイプに分けて述べてみる(文中・敬称略)。 移りゆく時代の中で、その評価はさまざまだが、代表歌手として初代のコロムビア・ローズ、童謡もこなす由紀さおりがいる。両人とも桐生出身で、ローズは『どうせ拾った恋じゃもの』など、由紀は『手紙』などで強烈にアピールした。さらにベテランの古都清乃をはじめ、団しん也、井森美幸、篠原涼子、柳沢純子らが顔を連ねる。 さて、本県を生活の基盤にして、ひたすら歩む歌手を見ると、千木良政明(前橋)、双葉あきら(同)、笠見実(桐生)の三作曲家の門下生が多いことに気付く。千木良門下では沢ゆかり(佐波・東)、原けい子(前橋)、山路よう子(新田)、太田一馬(太田)ら。双葉門下には長女の山本恵子(前橋)、天海たけし(高崎)、葉山あき(同)、笠見門下は神尾美幸(宮城)、水谷はじめ、佐渡八重子、立花あき(以上桐生)らの名が浮上する。 これらの中で、歌謡教室主宰者を紹介したい。カラオケファンの主婦たちが対象の指導だ。昨年六月、歌手生活二十周年を記念して『夢潮路』など全国発売の神尾、「松平直樹とブルーロマン」と活躍したことのある山本、『あなたに未練』がデビュー曲の水谷や、『ああ国峰城』を歌った小幡光男(甘楽)、『おんな橋』の中林美恵子(高崎)も。それぞれが教室の生徒たちと、和気あいあいにひとときを過ごす。そして生徒と合体の発表会を重ねている。 デビューへのきっかけを見ると、レコード会社のオーディション合格、のど自慢大会での受賞などが挙げられる。その例えとして、県作詩作曲家協会、東芝レコード共催の新人歌手オーディション=一九八二(昭和五十七)年=に合格したことが糸口となり、レコード、テープ化した一人に原が。 また、第十回遠藤実カッパピア歌謡選抜記念大会(九二年)で、準グランプリを受けた中林はその後テープ化。群馬テレビ主催の県歌謡音楽大賞決勝大会(九九年)で、グランプリに輝いた佐藤真由美(妙義)は、この受賞をバネに『松』などを吹き込んでいる。 話の内容をかえます。“変わりダネ”を取り上げたい。笠見門下の「星ゆたか」の本名は星野豊昭。肩書は笠懸町議会議員。副議長などの経歴の持ち主だ。四年前に『カタクリ慕情』などでデビュー。昨年には同曲と『いいんだよ』をカップリングして意気盛んだ。高崎を拠点に五六年から演歌師を務める井上たま恵。“流しの玉ちゃん”で鳴らす貴重な存在だ。『悲恋花』などの自作曲がある。一方、病気に立ち向かう“頑張り屋”に、人工透析を続ける立花、足が不自由で杖(つえ)が頼りの神尾が特筆される。 (上毛新聞 2002年5月10日掲載) |