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◎先入観捨て可能性追求 私が現在塾長を務めている「夢現(むげん)じゅく」は、私が塾長である必要は全くなく、塾生であれば誰がなってもよいと思っている。なぜなら塾生はそれぞれに自分が思い描く夢を持っており、それを現実のものとすべく鋭意努力をしているからであり、塾長が誰であるかは大きな意味を持っていない。そもそも夢現じゅくという名からして、夢を現実のものとしようという意志を表したものであり、塾生が考えた多数の候補の中から塾生自身が選んだものであるので、各自が代表者であるとの認識を持っていると私は考えている。 夢現じゅくの活動内容を紹介することは控えるが、私たちが目指すことは、下仁田町を商業、農業、工業、林業すべてにおいて、そして住んでいる人々にとって生活面、福祉面において「誇れる町」にすることである。そして、そのために研究し、討議し、提案または実行しているのだが、設立してから四年が経過し、下仁田町においても徐々にではあるが、その名前と活動が浸透しつつあるように感じている。 私が故郷に帰ってきた当初に感じたことは、小さかったころの町のイメージと現実のイメージが重なっていないということであった。もちろん、年齢や経験の違いからくる視点の違いや感じ方の違いはあるけれども、人口や商店数の減少、空き家の増加など数字で表すことのできる指標を見ても、寂しくなったというのが実感であった。しかし、それ以上に寂しく、悲しく、そしてショックであったのは、町の現状と将来に対して、悲観的な見方をしている町民が少なからずいたということであった。このことは、今しなければならないことが個々人の意識改革を行うことである、ということを意味すると思えてならない。 夢現じゅくにおいてまず行ったこと、それは「固定概念にとらわれず、過去や他人のせいにせず、最初からあきらめず、受け身にならず、そして傍観者にならず」という行動指針を掲げたことである。固定概念にとらわれないとは「今までこうだったから」「まわりがこうだから」などの先入観を捨て去り、行動するということである。過去や他人のせいにしないとは「あの時の判断が悪いから」「だれそれが悪いから」ではなく、今自分はどうするべきか見つめ直して行動するということであり、最初からあきらめないとは「どうせ駄目だから」「どうせ変わらないから」ではなく、可能性や真実を追求して行動するということである。受け身にならないとは「指示がないから」「展望が示されていないから」ではなく、今自分はどうするべきかを考えて自発的に行動することを意味し、傍観者にならないとは「言うだけ無駄だから」「やるだけ無駄だから」ではなく、まず発言し、実践するよう行動するということである。 当たり前のことであるかもしれないし、特に目新しいことではないだろうが、実際に実践することはなかなか難しいものである。当たり前のことが当たり前にできていないことは、他にもたくさんあるけれども。 (上毛新聞 2002年4月9日掲載) |