視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
森の遊学舎代表 
小森谷 浩之さん
(勢多・東村沢入 )

【略歴】北海道大農学部卒。家業の林業、建設業を営む傍ら、01年に村民と自然体験学校の設立を目指すグループ「森の遊学舎」を立ち上げた。東毛地区林研グループ連絡協議会長。


子供の健康

◎日々の食事こそ大切

現代の子供を取り巻く医療は、何か間違っているのではないでしょうか。なぜ妊婦に薬は厳禁で、生後間もない子を薬漬けにすることは問題ないのでしょうか! 子供は生まれながらにして、肉体的にも、精神的にも環境に適応する能力を持っています。熱が出るということは、体の中のウイルスを駆除するための自然な反応だと考えられます。三八度程度の熱で薬を使い熱を下げると、かえってだらだらと熱が続きます。熱が出ることもその時の子供の体には必要なのです。
 
私の長女がまだ生後六カ月ごろのことです。きれいなほっぺたが赤くなり、一部がジュクジュクとただれてきました。私たち夫婦は、食べ物には特に昔から気を付けており、なぜ私たちの子にアトピーが出るのか、とショックを受けました。あまりにひどいので、皮膚科に行くと、先生が薬を処方してくれ、それを塗ると翌朝にはうそのようにほっぺたがきれいになったことを、今でもよく覚えています。
 
そこで、薬の使用をやめ、様子をみました。数日後、驚いたことに全く同じ場所がただれるのです。わたしたちはふるえました。これを塗れば、きれいになる。だけど、やめればまた出る。そうして皮膚はどんどん薄くなるに違いない。自分たちが、この子をどんどん壊していくような感じがしました。この子のほっぺは、何を私たちに伝えたいのだろうか。これを続けてはいけない!と感じました。
 
医食同源という言葉があります。まだ母親の母乳しか飲んでいない娘の場合、考えられるとすれば、問題は母親の食事しか考えられません。そこで食生活をチェックすると、一つもしかして…と思い当たる節がありました。それを食べないようにしたとたん、娘のほっぺは良くなりました。
 
この体験が現在の私たち夫婦の医療に対する考えの基本になっている気がします。もし、あの時薬を塗り続けていたら一体どうなっていたのか! 本来の原因を解決せず、そのリアクションを抑え続けていたら、きっともっと娘の体の奥深い所で病気の菌糸を張り巡らし、ある日突然爆発したことと思います。
 
また、この時私も鼻炎がひどくつらかったのですが、母親だけは何もなく元気でした。体内に取り込まれた毒素は母乳から排出するようです。そういえば、子供を産むほど母体は健康になるという話もあります。女性の体に取り込まれた毒は、子供に濃縮され排出するようです。そう考えると日々の食事が本当に大切だと思います。
 
わが家の子供たちは「本当に丈夫ですね!」と人から言われますが、親が見る限り元々そんなに丈夫な方ではないと思います。ただ、夏にはなるべく裸で皮膚を鍛え、冬はなるべく薄着で寒い暑いを体に感じさせ、甘いものを食べさせないことが秘けつではないかと思っています。
 
子供がやがて親の手から離れた時、病気にならない、また病気になってもすぐに自分で治せる体に育ててやることは、どんなに宝になるかと思います。そして、それを与えてあげることができるのは、まさしく親だけではないでしょうか。そして、その健康な体はさらにその子供たちへと受け継がれていくのではないでしょうか。



(上毛新聞 2002年2月6日掲載)