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◎国産材の需要拡大を 二十一世紀の初めとなる平成十三年六月、通常国会で森林・林業基本法が可決・成立し、三十七年ぶりに改正された。 旧林業基本法は昭和三十九年に林業の安定的発展等を重視し制定されていたが、新森林・林業基本法は国民の森林に対する要請が木材の生産、水資源のかん養や国土の保全にとどまらず、保健・休養の場、教育的利用の場や地球温暖化防止というグローバルな視点からの要請など、極めて多様化・高度化してきている現状に対応し、森林の有する多様な機能の持続的発揮、林業の健全な発展、林産物の供給および利用の確保を基本理念としている。 この法改正を受け同年十月には、同法の基本理念を実現するための基本方針などを定めた森林・林業基本計画と、森林整備の基本となる全国森林計画が閣議決定された。 森林整備については、重視すべき機能に応じて森林を三つに区分し、(1)水土保全林一三〇〇万ヘクタール(全森林の約50%)(2)森林と人との共生林五五〇万ヘクタール(同20%)(3)資源の環境利用林六六〇万ヘクタール(同30%)と設定し、森林整備の方向として(1)については、土砂崩れや洪水の防止といった国土の保全や水資源の確保など、安全で住みやすい空間を守るための森林づくりを、(2)については、貴重な自然環境の保全や余暇活動での森林利用など、自然とのふれあいを目指した森林づくりを、(3)については、公益的機能の発揮に配慮しつつ、木材生産が持続的に可能な森林づくりを目指し、それぞれの区分に応じた形で森林の整備を進めていくこととしている。 公益的機能を発揮させるための森林施業として、水土保全林においては、健全な水環境の確保、森林の土壌の安定化を図る観点から、森林の裸地化を避けるため一度に切り開けない複層林施業や、長期的にみて裸地状態を短くすることができる長伐期施業を行うなど、それぞれの区分に応じた森林施業を推進していくこととしている。 日本の森林面積は国土の約七割に当たる二五一〇万ヘクタールを占めており、このうち人工林面積は約一〇〇〇万ヘクタールで、その蓄積は約三十八億立方メートルに達しており、平成十二年の年間木材総需給量は約一億一〇〇万立方メートルであり、日本の木材自給率は18・2%であった。このことから今後外材の輸入量が漸減すると仮定した場合、国産材による自給ウエートは増えることとなり、国産材の安定供給と需要の開拓が必須となる。そのためには国産材の安定供給体制の確立と、需要拡大に向けた手立てを講じて行くことが肝要である。 二十一世紀における林業百年の大計が示されたところであり、水の世紀、緑の世紀と言われている二十世紀の森林のあり方と、それを具現する林業・木材産業にとって平成十四年は新たなスタートの年となる。 (上毛新聞 2002年2月5日掲載) |