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◎食生活のあり方 国内初の狂牛病が九月に確認されて、四カ月が経過し、牛肉に対する不安が一般県民の間に広がりを見せています。原因であると言われている代用乳や、肉骨粉入りの飼料を摂取することで起こる狂牛病についてのメカニズムは、今のところ異常プリオンと呼ばれる変為性タンパク質が、脳をおかしていくというほかは、よく分からない。だから消費者に、牛肉にどう対処すればいいのか、はっきり分からず、不安を募らせています。 これを契機に、狂牛病のみならず食品全体に対する安全について、もっと私たちが意識を持つようになることが必要ではないでしょうか。 現在の食生活は、外食産業やコンビニエンスストアの成長と、家庭電化製品の発達により、炊事にかかわる時間が大幅に短縮されました。このことは、女性の社会進出の要因となったり、家族のふれあいの時間が創出されたりして、新しい豊かさを生みだしましたが、逆に子供が料理を手伝ったり、買い物や食事の準備をするといった、親子の共同作業の時間を減少させてしまったようです。 そして、食卓には私たちの手間のかかっていない食品が並び、食材の一つ一つが生産者の顔の見えない、流通ルート不明なものとなってしまいました。これは、安さを追求した企業間競争がもたらしたグローバル化にほかならないと思います。 中国産のネギ、ブータンのマツタケ、ケニア産の日本茶、豆腐・みそ・しょうゆなどの原材料の大豆が九七%輸入とあっては、伝統の和食が万国博化してしまったと言っても過言ではないでしょう。豊かさをもたらしたグローバル化と、先人の知恵やつくりあげられた和食の伝統を見つめ直した時に、地域の土で、水と空気を吸収して育った食材の素晴らしさに出合うのではないでしょうか。 「身土不二」という中国の教訓は、故郷の食材、旬の食品が、いかに人間の体に良いかを説いたものです。今一度、地域の食材の良さを再認識することにより、群馬の素晴らしさを発見できることと思います。そのためには、私たち自身がもっと食べることに関心を払い、食品の安全についての正しい知識と情報を持つべきだと思います。 伊勢崎では、市民のネットワークで食品の安全に対する研究が進んでいます。一月十九日には、伊勢崎市民プラザで、市民団体の環境市民ネットと群馬食品の安全を考える会、そしてNPO法人の環境ネット21が連携して、狂牛病に対する勉強会を開催することになりました。産業界や行政だけでは取り組みにくい問題を、このような新しいネットワークで対応していくことが、これからの街づくりにとって、大切なことだと思います。 狂牛病事件で不安になるのではなく、正しい情報と知識を持って、安全で、楽しい食生活をめざしていきましょう。食べることは生きることを、しっかりと子供に教育していくことが、親の最大の責務であると思います。 次回は、食生活を通じての子育てについて語ってみたいと思います。 (上毛新聞 2001年12月31日掲載) |