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◎宇宙の果て 天文台は何をするところなのですか? 天気が悪いとやることがないのではないですか? 天文台や天文学者は夜になると星をのぞいているのですか? こんな質問をよく受けますが、実は私たちはこんなことをしているのです。 天文台では星や銀河、宇宙の歴史・将来について調べています。望遠鏡で遠い天体の星の光(電磁波)を集め、特殊な観測装置でその光を加工して検出器で受け、理論やモデルと比べながら分析作業をしているのです。晴れたらデータを収集し(観測)、それ以外は分析・まとめ(研究)をしているのです。 星を見ると言っても眼視でなく、画像やグラフ化したものを“見て”いるのです。また、機材がきちんと動き、時代に遅れないよう管理や更新もしています。さらに、ぐんま天文台は公開型ですから、来訪者に成果や天文・科学について教育、普及的な活動もしています。 さて、今日は掲載初回なので、来訪者の科学的質問数ナンバーワンの「宇宙の果て」について簡単に説明しましょう。宇宙の果てを「終わり」や「境界」と考えると、実はよく分かっていないのですが、次のように考えてみたらどうでしょう。 宇宙の年齢がおよそ一五〇億歳ですから、一五〇億光年(光年=光速で一年間に進む距離、約九兆五千億キロメートル)彼方(かなた)の光が、今やっと地球に届いたと考えます。仮に百五十億光年彼方が宇宙の果て(地平線)ということになります。 百五十億光年の彼方を見ることは、宇宙が始まった時を見ることを意味しています。宇宙(空間と時間)は、ある時突然始まっています。時間がスタートし、空間が膨張し始めたとき、その大きさは針の先より小さなものでした。こんな狭い空間に宇宙全体は入りきりませんから、物質は存在せず、光というエネルギーの形で押し込められていたのです。その後、宇宙は急速に膨張し、温度が下がっていき、エネルギーが形を変えて物質が生まれました。 しかし、まだ光と物質が混在していて、光が自由に走れない状態です。宇宙膨張は緩やかになってきましたが、まだ続いています。やがて原子核(+)が電子(−)をとらえて、中性の原子ができました。電子の束縛を離れ、光が自由に走り出しました。「宇宙の晴れ上がり」です。宇宙開闢(かいびゃく)三十万年、温度三〇〇〇度、現宇宙の千分の一の大きさの時です。 現在、私たちはこの光を観測することができます。しかし、宇宙がその時に比べ千倍大きくなったので、三〇〇〇度に対応する光も千倍波長が伸ばされ、光でなく電波になっています。宇宙の果てを見たら、「過去」と「火の玉宇宙」が見えたのです。面白いでしょう。 宇宙を理解するには、多くの知識が必要です。身につけた知識は天文以外でも、いろいろなところで物事を正確に判断する材料となります。知識を多く持つことが、デマやうわさに左右されず、主体的に言動できる独立した人格をつくります。ぜひみなさんと一緒に知的好奇心をおう盛にして、真の面白さを求めていきたいものです。 (上毛新聞 2001年11月16日掲載) |